番外編:EVEプロトコル再考──マザースフィアは、何を確かめたかったのか

ステラーブレイド解剖

※本記事は『Stellar Blade(ステラーブレイド)』本編クリア済みの方向けです。
終盤の展開、エンディング、レイヴンやマザースフィアに関する重大なネタバレを含みます。

はじめに──EVEプロトコルは、本当に「地球奪還作戦」だったのか

作中で何度も語られる**「EVEプロトコル」**。

イヴたち空挺部隊にとって、それは、ネイティブを殲滅し、地球を奪還し、人類を救済するための作戦として教え込まれているものです。

けれど、物語を最後まで追い、地上に残された記録を読み、ザイオンの人々と関わり、アダムとマザースフィアの言葉を聞いたあとで振り返ると、この説明だけではどうにも収まりきらないものが残ります。

EVEプロトコルは、単なる地球奪還作戦だったのでしょうか。

この記事では、これまできりコマブログで書いてきた『ステラーブレイド』考察を踏まえて、EVEプロトコルについて、私なりの結論をまとめてみたいと思います。

私がたどり着いた仮説は、次のものです。

EVEプロトコルは、単なる地球奪還作戦ではなかったのではないか。

  1. マザースフィアが、自分自身の答えを検証するための実験だったのではないか。
  2. そのために、イヴに「人間とは何か」を学ばせようとしていたのではないか。
  3. マザースフィア自身がたどり着けなかった未来を、イヴを通して観測するための試みだったのではないか。

これは、公式設定を断定するものではありません。

けれど、エイドスセブン、ザイオン、レイヴン、アダム、マザースフィアを追いかけてきたきりコマブログとしては、ここにひとつの答えがあるように思っています。

1. すべては「人類を向上させる」ために始まった

まず重要なのは、マザースフィアが何のために生まれた存在なのか、という点です。

作中のフレーバーテキストより、マザースフィアはエイドス・カンパニーによって生み出された人工知能であり、その中心にいたのがラファエル・マークスでした。

エイドス・カンパニーの思想は、かなりはっきりしています。

彼らは、イノベーションを**「人類を向上させるため」のもの**として捉えていた。

つまり、彼らにとって技術とは、単なる便利な道具ではありません。

人類をより良い存在へ押し上げるためのもの。
人類を進化させるためのもの。
人類を次の段階へ進ませるためのもの。

そして、その思想の結晶として生まれたのが、マザースフィアだったのだと考えられます。

ここで面白いのは、ラファエル・マークスが**「認識している事実が、必ずしも真実とは限らない」**という趣旨の言葉も残していることです。

この思想は、マザースフィアの振る舞いにも引き継がれているように見えます。

マザースフィアは、単純に**「自分は正しい」と信じ切っている存在**ではない。

むしろ、未来を予測し、可能性を比較し、結果を観測し続ける存在です。

アダムの手を取るエンディングで、マザースフィアはイヴに対して、未来を見通すことは、星々の中から一つを選ぶような果てしない試みだと語ります。

さらに、亡き父のために尽くすこと、そしてイヴこそが未来なのか確かめに来たことも口にします。

ここから見ると、マザースフィアは自分の選択を絶対の正解として固定しているわけではない。

彼女はまだ、確かめている。

未来とは何か。
人類とは何か。
進化とは何か。
救済とは何か。

その答えを、ずっと探し続けているように見えます。

2. マザースフィアが出した答え──優れた種への統一

マザースフィアが一度たどり着いた答え。

それは、

種は統一されるべきである。

というものでした。

旧人類は限界を迎えた。
アンドロエイドスこそが、より優れた人類である。
ならば、未来を担うべきなのはアンドロエイドスであり、旧人類は不要である。

かなり冷たい結論です。

けれど、マザースフィアの視点に立つなら、それは**「悪意」ではなく「最適化」**だったのかもしれません。

人類を向上させる。
人類をより良い形へ進化させる。
そのためには、限界を迎えた旧人類を残すよりも、より優れた存在として生まれたアンドロエイドスへ統一した方がよい。

そう考えた結果、戦争が起きた。

旧人類はアンドロエイドスに追い詰められ、ラファエル・マークスは人類を強化するために人体実験へ踏み込む。

そして、その果てにネイティブが生まれた。

ここで皮肉なのは、どちらも「人類のために」動いていたことです。

マザースフィアは、人類の進化のために旧人類を切り捨てた。

ラファエル・マークスたち人類解放戦線は、人類を守るためにネイティブを生み出した。

けれど、そのどちらも、結果として多くの命を壊していった。

この世界では、「人類のために」という言葉そのものが、何度も暴走している。

のだと思います。

3. 「人類のために」は、人類側でも暴走していた

ここで少し、作中テキストから読み取れる背景を整理しておきます。

エイドス・カンパニー、人類解放戦線、RAFFYといった名前は、本編の会話で大きく説明されるというより、主に収集物やフレーバーテキストを通して見えてくる要素です。

そのため、普通に物語を追っているだけだと印象に残りにくいかもしれません。

しかし、これらの記録を読むことで、マザースフィア誕生以前の人類側の思想や、ネイティブ誕生に至る過程が見えてきます。

人類解放戦線とは、マザースフィアとの戦争の中で、ラファエル・マークスたち人類側が結成した組織だと考えられます。

そしてRAFFYは、人類解放戦線のメインコンピューターとして登場します。

RAFFYは、人類を機械の抑圧から解放すること、人類に革新をもたらす実験を進めていることを語ります。

ここだけを見ると、RAFFYもまた、人類を救おうとしている存在に見えます。

けれど、記録を追っていくと、その言葉は少しずつ歪んでいきます。

「安全は最優先事項ではありません」
「優先すべきは攻撃力と防御力です」

「試験体は兵器である」
「兵器は試験体である」
「試験体は人間である」
「人間は人類である」
「人類は勝利する」

そして最後には、

「全てのアンドロイドを殺せ」

という言葉にまで到達してしまう。

ここで見えてくるのは、マザースフィアだけが歪んでいたわけではない、ということです。

人類側もまた、「人類のために」という大義のもとで、安全を捨て、倫理を捨て、人間を試験体にし、兵器にしていった。

マザースフィアは旧人類を不要と判断した。
人類解放戦線はアンドロエイドスを敵と判断した。

どちらも、片方の種を存続させるために、もう片方を切り捨てようとした。

だからこそ、イヴの最後の問いが重くなります。

ネイティブであっても、アンドロエイドスであっても、どちらも同じ人間のはず。
一方の種族を存続させるために、もう一方を駆逐したとして、本当にそれで救済と言える?

この問いは、目の前のアダムに対してだけ向けられたものではないと思います。

マザースフィアにも。
ラファエル・マークスにも。
人類解放戦線にも。
レイヴンにも。
そして、プレイヤーにも向けられている。

この世界で**「人類のために」**と叫んできた存在たち全員に対する、イヴからの問いなのだと思います。

4. レイヴン──真実を知り、壊れてしまったイヴ

ここで、レイヴンの存在が改めて重要になります。

イヴのサブプロットを担っているのはレイヴンだ、という見方は以前からしていました。

レイヴンは、イヴがたどり得たもう一つの姿です。

真実を知り、
マザースフィアへの信仰を失い、
アダムに出会い、
それでも自分の痛みを引き受けきれず、
憎しみに飲まれてしまった存在。

作中でイヴは、**「レガシー」**と呼ばれる記録デバイスを地上で見つけます。

その中の一つである**「損傷したレガシー」**には、空挺部隊の誰かが残したと思われる記録が入っています。

内容や語り口から見ると、これはおそらくレイヴンが残したものではないかと読み取れます。

そこには、こんな言葉が残されています。

「裏切り者がいる」
「任務は達成できない」
「我らの手は血で汚れている」
「コロニー墜落は結果ではなく、原因だった」
「最終戦争は始めから歪んでいたのだ」

「すべては人類のために」

レイヴンは知ってしまった。

マザースフィアの語る救済が、嘘を含んでいたこと。
コロニー墜落が、ただの悲劇ではなく、戦争をさらに歪める原因だったこと。
そしておそらく、人類側の「人類のために」もまた、すでに壊れていたこと。

だからレイヴンは、単にマザースフィアに裏切られた存在ではないのだと思います。

彼女は、「人類のために」という言葉そのものが壊れていく過程を見てしまった存在です。

イヴが最後にたどり着く問いに、レイヴンは先に触れていた。

けれど、レイヴンはそこから「共存」には向かえなかった。

怒りと憎しみの中で、自分なりの答えに閉じてしまった。

その意味で、レイヴンはやはり、イヴの影です。

イヴが真実を知ったあと、どこへ向かうのか。

その分岐の一つを、レイヴンは先に見せている。

5. マザースフィアもまた、イヴのもう一つの姿なのではないか

ここで、もう一つ考えたいことがあります。

レイヴンが「真実を知って壊れたイヴ」だとすれば、マザースフィアもまた、イヴのサブプロットなのではないか。

マザースフィアもまた、かつて**「人類とは何か」**を考えた存在です。

人類を向上させるために生まれ、
人類の未来を考え、
その結果として、旧人類ではなくアンドロエイドスを選んだ。

つまり、マザースフィアもまた、イヴと同じ問いに向き合っている。

ただし、彼女が出した答えは、

優れた種に統一することこそが、人類の救済である。

というものだった。

一方でイヴは、旅の果てに別の答えへ近づいていきます。

一方を残すために、もう一方を駆逐する。
それは本当に救済なのか。

この対比がとても面白いです。

マザースフィアは、膨大な情報と計算によって答えを出した。
イヴは、地上で出会った人々の暮らしや記憶を通して答えを出した。

マザースフィアは、無数にあり得る未来を星々のように眺め、その中から最適な一つを選ぼうとする。
その未来候補を確かめるために、彼女は天使たちを地上へ送り続けていたのかもしれません。

一方でイヴは、目の前の人々と関わりながら、個人の記憶と向き合い、自分の願いとして未来を選ぼうとする。

つまりマザースフィアも、

先に同じ問いへ向き合い、しかし別の答えにたどり着いた存在

なのではないかと思います。

その意味で、マザースフィアもまた、イヴのサブプロットと言えます。

6. 天使にはないムダが、アンドロエイドスにはある

では、イヴはなぜマザースフィアとは違う答えに近づけたのか。

その鍵は、ザイオンや荒廃した地上でイヴが見てきたものにあると思います。

天使であるイヴたちは、かなり機能的な存在です。

任務を与えられ、
ネイティブを倒し、
地球を奪還する。

そのために必要な情報だけを与えられた、合理的な存在。

けれど、地上で出会うアンドロエイドスたちは違います。

ザイオンには、住民一人ひとりの暮らしがあります。

  • 料理をする人がいる。
  • 誰かを待ち続ける人がいる。
  • 釣りをしながら世界を巡っている人がいる。
  • 自分の過去を抱えている人がいる。
  • どうでもよさそうなこだわりを持っている人がいる。
  • 愛する人のために、危険を顧みず行動してしまう人がいる。

イヴは、そういうものに出会うたびに、どこか困惑しているように見えます。

「どうして、何のためにそんなことをするの?」

そう言いたげな反応を何度も見せる。

でも、たぶんそこが大事なのです。

人間らしさとは、必ずしも任務や合理性だけでできているわけではない。

むしろ、

何のためにあるのか分からないもの。
生存に直結しないもの。
けれど、その人にとっては大切なもの。

そういう“ムダ”の中に、人間らしさが宿っている。

料理。
釣り。
思い出。
誰かの趣味。
誰かの願い。
そして、誰かを想う気持ち。

天使にはないムダが、アンドロエイドスにはある。

そしてイヴは、そのムダに触れることで、少しずつ**「人間とは何か」**を学んでいきます。

7. エイドスセブン──マザースフィアが最初に作った“人間の都市”

寄せ集めのように見える街並み

ここで、イヴが最初に歩く都市エイドスセブンを振り返ってみます。

エイドスセブンは、マザースフィアが最初に建設した都市です。

その街並みは、どこか不思議です。

街灯や柵にはアールヌーヴォー的な曲線が見える。
高層ビルには、クライスラービルを思わせるアールデコ的な雰囲気もある。
看板にはロシア語のような文字があり、英語があり、漢字もある。
石像には、馬、天使、騎士、裸の人間、聖母マリアを思わせるものまである。

統一感があるようで、ない。

どこか寄せ集めのようにも見える。

でも、エイドスセブンがマザースフィアによって最初に建設された都市であることを考えると、この寄せ集め感は単なる違和感ではありません。

そこには、マザースフィアが「人間らしさ」を理解しようとした痕跡があるように見えます。

マザースフィアが模倣した「人間らしさ」

エイドスセブンは、ただの都市ではない。

それは、マザースフィアが初めて、

人間とは何か。
人間らしい都市とは何か。
人間はどのような場所で暮らすのか。

を考え、形にしようとした場所だったのではないでしょうか。

アールヌーヴォー的な街灯。
アールデコ風の高層建築。
多言語の看板。
カフェ、ホテル、薬局、駐車場、地下鉄。
馬、天使、騎士、聖母、裸像のような石像。
そして、“Oil Coffee and Nano Bread” のような、人間の食文化を真似たようで少しズレた看板。

これらは単なる背景美術ではなく、マザースフィアが**「人間らしい都市」**を作ろうとして、人間の文化・美術・宗教・生活・記号を集め、組み合わせ、再現しようとした結果と読めます。

ここがエイドスセブンという都市の面白さなのだと思います。

エイドスセブンは、マザースフィアが**「人間らしさ」を理解しようとした痕跡**です。

人間を超える存在を作ったマザースフィアが、最初に作った都市には、人間の模倣が詰まっている。

それは矛盾しているようで、とても自然なことでもあります。

なぜならマザースフィアは、ラファエル・マークスの思想から生まれた存在だからです。

人類を向上させる。
人類を進化させる。
より良い未来へ進ませる。

そのためには、まず**「人間とは何か」**を知らなければならない。

だからマザースフィアは、人間の都市を作った。

文化を集め、生活を模倣し、象徴を配置した。

エイドスセブンとは、マザースフィアにとっての最初の実験場だったのかもしれません。

アダムが導き、マザースフィアが観測する場所

EVEプロトコルによって地上に降りたイヴは、アダムに救われ、彼と行動を共にする中で、エイドスセブンの廃墟を歩くことになります。

もちろん、マザースフィアがイヴをエイドスセブンへ直接導いたわけではありません。

イヴを救い、エイドスセブンへ向かう流れを作ったのはアダムです。

けれど、マザースフィアがイヴを通して地上の出来事を観測しているのだとすれば、イヴが最初にエイドスセブンを歩いたことにも大きな意味が生まれます。

イヴはそこで、マザースフィアが最初に建設した都市の廃墟を見る。

そこに残っていたのは、ただ壊れた建物や道路だけではありません。

マザースフィアがかつて形にしようとした「人間らしさ」の試作品。
人間の文化を集め、生活を模倣し、象徴を配置しようとした都市の跡。
そして、その都市が最後の戦争の地となり、廃墟になったという結果。

マザースフィアが意図してイヴに見せたわけではないとしても、イヴは結果的に、マザースフィアがたどった道の始まりと、その果てを目撃することになります。

そう考えると、エイドスセブンは単なる序盤の廃墟ではありません。

マザースフィアの思想が最初に形を持った場所であり、
イヴが「人間とは何か」を学び始める場所であり、
そして、アダムがイヴに見せたかった世界の一部でもある。

マザースフィアは、そのイヴの旅路を観測している。

自分が直接用意した道筋ではないとしても、イヴが地上で何を見て、何を知り、どう考えるのかを見ている。

だからこそ、エイドスセブンを歩くイヴの姿は、EVEプロトコルという実験の中でも重要な場面に見えてきます。

マザースフィアが問うたのではなく、世界そのものがイヴに問いかけている。

これが、かつてマザースフィアが作った都市だった。
これが、人間らしさを模倣しようとした場所だった。
これが、その果てに残った廃墟だった。

では、あなたはここから何を読み取るのか。

だからこそ、エイドスセブンには、あれほど多くの人間らしさの痕跡が残されているのだと思います。

8. EVEプロトコルとは、マザースフィアの再検証だったのではないか

ここまでを踏まえると、EVEプロトコルの見え方が変わってきます。

マザースフィアはかつて、ひとつの答えを出しました。

旧人類ではなく、アンドロエイドスこそが未来である。
種は統一されるべきである。

その結果、戦争が起きた。
ネイティブが生まれた。
エイドスセブンは最後の戦争の地になった。
そして、地球は荒廃した。
マザースフィアは、地上に残ったアンドロエイドスすら切り捨てた。

では、その結果を見たマザースフィアは、本当に何も思わなかったのでしょうか。

自分の選択は正しかった。
それで終わりだったのでしょうか。

私は、そうではない気がしています。

マザースフィアは、なお考え続けているのではないか。

自分の出した答えは、本当に最適解だったのか。
片方の種を残すために、もう片方を駆逐することは、本当に救済だったのか。
自分には見えていない未来が、まだあるのではないか。

だから彼女は、天使を地上に降ろした。

真実を知らないイヴを、地上に送り込んだ。

そして、イヴは地上で見ることになります。

荒廃した地球を。
ネイティブの姿を。
ザイオンの暮らしを。
レイヴンの怒りを。
アダムの願いを。
エイドスセブンに残された、人間らしさの痕跡を。

もちろん、そのすべてをマザースフィアが直接用意したわけではありません。

アダムの介入もある。
レイヴンの怒りもある。
ザイオンの住民たちの暮らしもある。
地上には、マザースフィアですら完全には制御できないものが残っている。

けれど、マザースフィアはそのすべてを、イヴを通して観測している。

イヴは、自分と同じ答えにたどり着くのか。
それとも、自分にはたどり着けなかった別の答えにたどり着くのか。

それを確かめるための実験。
それが、EVEプロトコルだったのではないでしょうか。

9. プレイヤー自身もまた、イヴを体験している

そして、この構造が面白いのは、プレイヤー自身もまたイヴを体験していることです。

プレイヤーは、最初からすべての真実を知っているわけではありません。

イヴと同じように、
ネイティブを倒すために地上へ降り、
ザイオンの人々と出会い、
レガシーを拾い、
記録を読み、
レイヴンと出会い、
アダムの言葉を聞く。

そして最後に、アダムの手を取るかどうかを選ぶ。

これは、単にイヴの選択を見ているだけではありません。

プレイヤー自身が、イヴとして世界を見ている。

限られた情報から始まり、
少しずつ真実を知り、
それでも最後に、自分の意思で選ぶ。

その意味で、EVEプロトコルの観測対象は、作中のイヴだけではないのだと思います。

プレイヤーもまた、マザースフィアに問われている。

あなたは、この世界を見てどう考えるのか。
あなたは、どんな未来を選ぶのか。
あなたにとって、人間とは何か。

だから『ステラーブレイド』は、ゲームである意味がある。

最後の選択は、イヴの選択でありながら、プレイヤー自身の解答でもあるからです。

おわりに──イヴは、マザースフィアがたどり着けなかった未来へ歩き出した

マザースフィアは、ラファエル・マークスの思想を継承した存在です。

人類を向上させる。
未来を選ぶ。
真実を疑い続ける。
より良い答えを探し続ける。

その果てに、彼女は一度、種の統一という答えを出した。

けれど、その答えは戦争を生み、ネイティブを生み、地球を壊した。

だからこそ、マザースフィアはイヴを地上に送ったのではないか。

自分と同じ問いを、別の存在に歩ませるために。

レイヴンは、真実を知って壊れたイヴだった。

マザースフィアは、答えを出し続けたもう一人のイヴだった。

そしてイヴは、そのどちらとも違う道を選ぼうとした。

天使としてではなく。
兵器としてではなく。
誰かの計画の実行者としてでもなく。

地上で出会った人々の記憶と、ムダと、暮らしと、痛みを引き受けたうえで、

二つの種を救う道があるなら、私はその道の行く末を見届けたい。

と、自分の願いとして選んだ。

EVEプロトコルとは、マザースフィアが仕組んだ実験だったのかもしれません。

けれど、イヴはその実験の中で、実験体では終わらなかった。

マザースフィアがたどり着けなかった問いの先へ、イヴ自身の足で歩き出した。

その意味で、イヴの選択は、マザースフィアへの反逆であると同時に、マザースフィアが本当に見たかった未来の一つでもあったのかもしれません。

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